【新卒採用完全ガイド③】ペルソナ設計

【新卒採用完全ガイド③】ペルソナ設計

【新卒採用完全ガイド③】ペルソナ設計

【新卒採用完全ガイド③】ペルソナ設計
新卒採用において「ペルソナ設計」とは、採用したい理想の人物像を具体的に定義するプロセスを指します。この手法は、マーケティングで用いられる「ペルソナ」の概念を採用活動に応用したもので、採用活動の効率化やミスマッチの防止に役立ちます。

目次

1.ペルソナ設計の重要性

2.ペルソナ設計の手順

3.ペルソナを具体化する

4.ペルソナを活用する

5.新卒採用で必須条件と希望条件を整理するノウハウ

6.おまけ:ペルソナ設計の注意点

 

1.ペルソナ設計の重要性

⑴採用活動の効率化

ペルソナを設計することで、自社にマッチする人材を明確にし、適切なアプローチが可能になります。これにより、来てほしい人材に来てもらえるようになり、応募者の質が向上し、採用活動の効率が高まります。

⑵ミスマッチの防止

新卒社員や若手社員の早期離職は、企業にとって大きな課題となっています。特に、入社後3年以内の離職率は高い水準で推移しており、その背景にはさまざまな要因が存在します。早期離職の主な原因として、まず「入社前後のギャップ」が挙げられます。
 
例えば、「裁量権のある仕事ができる」と期待していたのに、実際には雑務が中心だったというケースです。また、「職場の人間関係の問題」も大きな要因で、高圧的な上司の態度や同僚との価値観の違いにより、職場に馴染めないことがあります。さらに、「労働条件や待遇への不満」も離職理由として多く、残業の多さや休日の取りづらさから、ワークライフバランスを保てないと感じる社員がいます。
 
「自身の成長やキャリアへの不安」も離職を招く原因で、単調な業務ばかりでスキルアップを実感できなかったり、キャリアパスが見えないことが挙げられます。また、教育やサポート体制の不足も問題で、「業務に必要なスキルを教えてもらえない」ことや、相談できる環境が整っていない場合、孤立感が強まりやすいです。そして最後に、「業務内容のミスマッチ」も離職に直結します。
 
例えば、専門性を活かせると思っていた仕事が実際には単純作業だったり、希望とは異なる部署に配属されたりすることが原因となります。これらの要因が複合的に絡み合い、早期離職を招いています。

⑶社内の認識統一

ペルソナを共有することで、採用担当者や面接官、経営陣の間で「求める人物像」に対する認識を統一できます。これにより、選考基準が明確になり、採用プロセスがスムーズに進みます。迷いがなくなる事で、効率化にもなりミスマッチも防げます。
 
ペルソナ設計の重要性

 

2.ペルソナ設計の手順

以下は、新卒採用におけるペルソナ設計の一般的な手順です。

⑴採用目的を明確化する

まず、自社が新卒採用を行う目的を明確にします。たとえば、「将来のリーダー候補を育成する」「特定のスキルを持つ人材を確保する」など、採用のゴールを設定します。当社の場合は、新卒採用を通じて、カルチャーを強化するためなので徹底的に価値観や相性を見るようにしています。

⑵市場調査を行う

新卒市場の動向や競合他社の採用活動を調査し、現実的なペルソナ設計に役立てます。26卒の新卒採用動向は、売り手市場の継続と採用活動の早期化が特徴です。2025年卒の求人倍率は1.75倍と高水準を記録しており、特に中小企業や特定業界ではさらに高い倍率が見られます。学生数の減少と企業の採用意欲の高まりにより、企業間の学生獲得競争はさらに激化する見込みです。
 
また、採用活動の早期化も進んでおり、2025年卒から始まった採用直結型インターンシップの普及により、夏インターンシップや「オープンカンパニー」が重要な役割を果たしています。
 
一方で、学生の志向は安定性を重視する傾向が強まり、金融、メーカー、ITなどの業界が人気です。オンライン選考の普及により、96%の学生がオンライン対応を希望しており、企業側もこれに対応する必要があります。
 
さらに、内定辞退リスクも高まっており、2025年卒の学生の平均内定保有社数は2.0社に達しました。これを受け、内定辞退を防ぐための内定者フォローがますます重要になっています。これには研修、座談会、継続的なコミュニケーションが含まれます。
 
採用手法では、個別採用の強化やAIの活用が進み、従来のマス型採用からターゲットを絞ったダイレクトリクルーティングが主流となりつつあります。
 
まとめると、26卒の新卒採用市場は求人倍率の高水準維持、早期化の加速、学生志向の変化が特徴であり、企業には柔軟かつ戦略的な対応が求められます。
 
市場調査を行う

⑶求める人物像を具体化する

ペルソナは、採用活動やマーケティングのターゲットを明確化するために活用される架空の人物像です。以下の手順に沿って、具体的かつ効果的なペルソナを作成します。

①データ収集

優秀な社員の特徴や過去の採用データを分析し、成功事例と失敗事例を比較します。以下の方法でデータを収集します:

  • ・インタビュー:現場社員や経営層に求める人材像をヒアリング。
  • ・データ分析:過去の応募者や社員の属性をデータベースから確認。
  • ・市場調査:業界や職種の求められるスキルやトレンドを把握。

 
求める人物像を具体化する

②属性の分類

ペルソナを以下の3つの観点から分類します:
 
デモグラフィック(人口統計学的属性)
現時点での外面的なスペックを指します。具体的には以下の項目を検討します:

  • ・性別
  • ・年齢
  • ・住所(通勤可能圏内か)
  • ・最終学歴・学部
  • ・職歴や転職回数
  • ・保有資格やスキル

:大学3年生、アルバイト居酒屋3年以上、留学経験あり、英語スキルあり。

 
サイコグラフィック(心理的・価値観的要素)
内面的なスペックや価値観を含めた特徴を分析します:

  • ・理想の未来(仕事・プライベート)
  • ・趣味や好きなこと
  • ・モチベーションアップにつながる要因
  • ・嫌いなものや苦手なこと
  • ・決断のスピードや相談相手

:「チームで成果を出すことに喜びを感じる」「挑戦を恐れない」。

 
ジオグラフィック(地理的要素)
在住エリアや商圏の地理的特徴を整理します:

  • ・現在の居住地や勤務地へのアクセス
  • ・出身地や地域特性(地元志向か転勤可能か)

:福岡市在住、転勤可能、地元志向。

 
このようにペルソナを作成することで、ターゲット層に適したアプローチを検討できます。
 
属性の分類

 

3.ペルソナを具体化する

上記で収集した情報をもとに、ペルソナを具体的に描きます。架空の人物に名前を付けることで、よりリアルにイメージできます。

ペルソナ例:大学3年生

名前:佐藤花子(21歳)
 
デモグラフィック(人口統計学的属性)

  • ・性別:女性
  • ・年齢:21歳
  • ・住所:福岡市中央区在住(大学近くの学生寮)
  • ・学歴:福岡大学 商学部3年生
  • ・職歴:居酒屋のアルバイトを3年間継続(接客リーダー経験あり)
  • ・スキル:コミュニケーション能力、基本的なPCスキル(Excel・PowerPoint)。英語スキル(TOEIC 700点、1か月の短期留学経験あり)。
  • ・資格:普通自動車免許、MOS資格(Word、Excel)。

 
サイコグラフィック(心理的・価値観的要素)

  • ・理想の未来(仕事):チームで連携しながら、成果を上げられる職場で働きたい。いずれはリーダー職に挑戦したい。
  • ・理想の未来(プライベート):安定した生活を送りつつ、趣味や旅行を楽しめる時間を確保したい。
  • ・趣味:スポーツ観戦(サッカー、バスケットボール)、料理、カフェ巡り。
  • ・モチベーション:自分が努力した結果が評価される環境や、目標達成感がある仕事に取り組むこと。
  • ・嫌いなこと:不明瞭な指示や、目標のない作業。
  • ・決断のスピード:事前に相談できる相手がいると、比較的迅速に決断するタイプ。
  • ・相談相手:両親、大学の友人。
  • ・価値観:チームワークを重視し、挑戦を恐れず、自分の成長を大切にしている。

 
ジオグラフィック(地理的要素)

  • ・現住所:福岡市中央区
  • ・出身:福岡県北九州市
  • ・勤務地:通勤1時間以内であれば問題なし(地元志向があり、福岡県内での就職希望が強い)。
  • ・転勤:大きなキャリアアップの可能性があれば全国転勤も前向きに検討可能。

 
ペルソナを具体化する

 

4.ペルソナを活用する

作成したペルソナを以下の採用活動に活用します。
まずは、自社の欲しい人を〇〇な人と言語化してください。
当社では下記の様に言語化しています。

「人を、街を、モリアゲる。」を実現し、共に最高の会社を作り上げる仲間を求めています。

  • 1.素直で前向きに行動できる人
    過去や未来にとらわれず、”今”に全集中できる人。
    やる気と勇気を持ち、挑戦を楽しめる方を求めています!
  • 2.人と一緒に楽しめる人
    人が好きで、交流を楽しめる人。
    みんなで支え合い、笑顔で成長できるチームを一緒に作りましょう!
  • 3.チャレンジを楽しむ心を持つ人
    挑戦することで未来は変わります!
    失敗を恐れず、一歩一歩前進する勇気を持てる方を歓迎します。
  • 4.遊び心と創造性を発揮できる人
    「ちょっとおもしろい」をプラスする発想力で、周りを笑顔にできる人。
    クリエイティブなアイデアを形にできる方を待っています!
  • 5.思いやりと感謝の気持ちを大切にする人
    「ありがとう」を大切にし、支え合いながら優しさを広げられる人。
    チームの中で周囲をポジティブにできる方を歓迎します!
  • 6.成長を楽しむワクワク感を持てる人
    仕事も自己成長も「楽しむ」が合言葉!
    楽しみながら周囲に良い影響を与え、一緒に成長できる方を求めています。

一言でまとめると
素直に挑戦し、成長を楽しむ、モリアゲ心があふれる人!

 
素直に挑戦し、成長を楽しむ、モリアゲ心があふれる人!
人票の作成や選考基準の設定、内定者フォローといった採用プロセス全体をペルソナを基に設計することが重要です。ペルソナをしっかり設定することで、採用活動の軸が明確になり、ターゲットに刺さる求人情報や選考基準を作ることができます。
 
一方で、求人サイトを整えたり、合説ブースを装飾したりといった「見た目や枝葉の部分」にばかり注力するのは効果が限定的です。まずはペルソナ設定を軸に、採用活動全体の設計をしっかり固めることが、効率的で成果につながる採用を実現するためのポイントです。
 
採用の第一歩として、ペルソナを基にした設計に時間をかけることが、後の成功につながる鍵となります。

 

5.新卒採用で必須条件と希望条件を整理するノウハウ

ペルソナが決まったら、最後にやってほしい事があります。それは必須条件(絶対に満たすべき条件)と希望条件(満たしていると高評価につながる条件)を整理することです。採用活動の効率化やミスマッチの防止において非常に重要です。以下に、具体的なノウハウを解説します。

⑴必須条件と希望条件の違い

  • ・必須条件
    採用するために応募者が必ず満たさなければならない条件。これを満たさない場合、採用対象外となります。例として、学歴、特定の資格、勤務地の制約などが挙げられます。
  • ・希望条件
    必須ではないが、満たしていると評価が高くなる条件。例として、特定のスキル、インターン経験、語学力などが含まれます。

 

⑵必須条件と希望条件を分類する

  • ・必須条件の設定
    以下の観点を基に、絶対に譲れない条件を設定します。
    学歴・資格:必要な学位や専門分野、資格(例:教員免許、簿記資格など)。
    勤務地・勤務条件:勤務地の制約やフルタイム勤務の可否。
    基本的な能力:コミュニケーション能力や基本的なPCスキルなど。
  • ・希望条件の設定
    必須条件を満たした上で、以下のような要素を希望条件として設定します。
    ポテンシャル:成長意欲やチャレンジ精神。
    スキル:語学力やプログラミングスキルなど、業務に役立つスキル。
    経験:インターンシップやボランティア活動の経験。

採用活動において、必須条件と希望条件を明確に分類することは、効率的な選考とミスマッチの防止に繋がります。ペルソナを設定した後は、必須条件で応募者を絞り込み、希望条件でさらに評価を行うというプロセスを取り入れましょう。これにより、会社のニーズに合った優秀な人材を見つけることが可能になります。

 

6.おまけ:ペルソナ設計の注意点

  • ・理想と現実のバランスを取る
    あまりに理想的なペルソナを設定すると、現実の応募者と乖離してしまう可能性があります。市場の状況を踏まえ、現実的な人物像を設計することが重要です。例えば弊社では、既存メンバーとのバランスやビジネスモデルから考えると、東京大学や京都大学の学生は必要としていません。バランスが崩れてしまうからです。
  • ・柔軟性を持たせる
    ペルソナはあくまで指針であり、すべての応募者が完全に一致するわけではありません。柔軟な視点を持ち、ポテンシャルを重視することも大切です。